成形加工機洗浄用プラスチック(樹脂用パージ剤) セルパージによるエンプラの洗浄-NEW-

トピックス

プラスチック材料の成形において、同一の機械で多色、多材料を成形する場合、色替えや材料替えなどの段取り替え作業が必要となります。これら作業を効率よく進めるため、パージ剤が用いられます。

パージ剤に求められる性能として、

  • ・洗浄力(少量で完全に洗浄できること)
  • ・低残留性(成形機内に残らず、次材影響を及ぼさないこと)

があります。

今回の記事では、次の3点を解説し、当社製品の成形加工機洗浄用プラスチック『セルパージ』をご使用いただくメリットをご紹介します。

  • 1. セルパージの作用機構
  • 2. セルパージのおすすめグレード
  • 3. 高温成形エンプラの洗浄に適したセルパージ

1. セルパージの作用機構

セルパージはシリンダーやスクリュー内壁の界面張力に着目したパージ剤です。

例えば、フッ素樹脂加工処理したフライパンの上に水や油があるとはじいて玉のようになり、食材のヤケ焦げ付きを防止できますが、これと同じ理屈を利用します。

セルパージは樹脂とシリンダー等の成型機内部の金属表面の2者間の界面張力を制御し、接触角θを大きくした状態に変化させることで、前材をスムーズに排出します。

粘度だけに頼らない設計で
安心

通常、パージ材は前材料よりも高粘度の樹脂を使用することが有効とされていますが、セルパージは粘度だけに頼らない設計となっておりますので、他のパージ材よりも残留しにくく、安心して次材をご使用いただけます。

ぐんぐん押し出すセルパージ  
[ホットランナー金型も エアショットでパージ(洗浄)できます!] (音声有り)

以上から、当社製品の『セルパージ』は次のような特徴を有する、大変便利なパージ剤です。

  • ・高洗浄・低残留であることから、段取り替えの時間を短縮できます。
  • ・樹脂の廃棄量や材料のロスが減らせるので、環境にもやさしく、経済的です。
  • ・異物不良の発生率を低減でき、異物や炭化異物の除去にも効果的です。

2. セルパージの
おすすめグレード

種々のエンプラに対して
セルパージグレード 『NX-VN2』および『NX-VG2』 が有効です。

特に、NX-VG2は界面活性剤に加えて、ガラスフィラーが配合されており、フィラーがシリンダー表面をこすりながら流れる「カキトリ効果」も加わることで、幅広いエンプラに対して使用することができます。

3. 高温成形エンプラの洗浄に
適したセルパージ

さらに、これまで課題であった
高温使用時でのパージ剤のハジケによる作業環境の悪化
を解消するため、新たなグレード NX-VG3 を開発しました。

300℃以上での使用を想定し、配合を見直すことで、界面張力を生かした洗浄力や、自己排出性はそのままに、高温でもガス、ハジケが少なく、非常に扱いやすいグレードとなっています。

実際に使用されたユーザーからも「ハジケやガスの発生がなくなり、非常に扱いやすくなった」との声をいただいております。

セルパージNX-VG3 -技術資料- – ダイセルミライズ

セルパージ製品の各種グレードラインナップや、詳しいご使用方法は、
セルパージ特設サイトを是非ご覧ください。

 
 

電気配線網において活用されるPA樹脂特殊コンパウンド製品

トピックス

プラスチック材料の基本的な特性のひとつに絶縁性能があります。
なかでもPBT系樹脂は安定した絶縁性能があり、安全性のための難燃性能が付与されて電気製品に多く使用されます。

当社でも成形性や製品の寸法安定性が改良されたPBT/ABSアロイ樹脂『ノバロイB』シリーズを電気製品向け材料としてラインナップしています。

エンプラアロイ樹脂 ノバロイ

身近な生活や産業活動を支える電気配線網における
受配電設備ではさらに過酷な要求性能も

今回は電気配線網の安全を守る配線用遮断器(サーキットブレーカー)に着目します。

配線用遮断器は、容量の小さい家庭用「MCB」中~大容量の産業用「MCCB」に大別されます [表1]
プラスチック材料は筐体部品などに使用されますが、短絡時の火災発生リスクを最小化するために、やはり難燃性能が必要です。

表1.配線用遮断器の分類

配線用遮断器 JIS規格 定格電圧 定格電流 定格短絡遮断容量
住宅用:MCB (*1) JIS C 8211 DC300V以下 150A以下 25kA以下
産業用:MCCB (*2) JIS C 8201-2-1 DC1000V以下
又はAC1500V以下

(*1) Miniature Circuit Breaker
(*2) Molded Case Circuit Breaker

とりわけ産業用MCCBの領域では、電気容量(遮断容量)が大きいため短絡時に非常に強い物理的衝撃が発生し、プラスチック材料には高い靭性が合わせて要求されます

このような場面では、PBT系樹脂よりも
靭性に優れるPA系樹脂や熱硬化性樹脂の方が適しています。

ダイセルミライズは
高靭性且つ高難燃性の
PA樹脂特殊コンパウンドを
開発

 
ダイセルミライズは生産性で優位性のある射出成形用材料として高靭性且つ高難燃性のPA樹脂特殊コンパウンド『A58SX(タイプA)』(以下、A58SX(A))を開発し、主にMCCBに分類される高容量配線用遮断器の筐体用材料として提供しています。

A58SX(A)では、高い靭性を発現させるために、剛性を維持しながら破壊伸びが大きくなることを両立させました。

高剛性のためにガラス繊維を高充填(50重量%)しながらも、樹脂マトリックスは延性が高められています [図1]耐衝撃性においても、A58SX(A)はPBT系樹脂よりも優れています [図2]


図1.応力-ひずみ曲線

図2.シャルピー衝撃強さ

※比較材料として家庭用MCBに使用可能な、ガラス繊維強化難燃PBT/ABS樹脂『B5526』(GF30%)の特性を引用

A58SX(A)は、大電流を取り扱う産業用MCCB製品に適合するため、PA樹脂でありながら高い難燃性能を実現しています。

表2.A58SX(A)の難燃性能

特性 測定方法 単位 A58SX(A) 比較:B5526
燃焼性 UL94 V-0/1.0mm V-0/1.5mm
熱線による発火(HWI) UL746A sec (PLC) 120 (0)/1.0mm 24 (3)/1.5mm
高電流アーク発火(HAI) UL746A – (PLC) 150 (0)/1.0mm 35 (2)/1.5mm
IECトラッキング(CTI) IEC 112 V (PLC) 600 (0)/3.0mm 210 (3)/3.0mm

高い機械強度と難燃性を有するA58SX(A)は、
実際のMCCB製品に課せられる過酷な大電流遮断テストでも
破損せずにクリアしました。

 

電気設備における配線機器は、通常長年にわたって使用されます。
設置場所の多くは屋内ですが、使用期間中の保守・点検作業において
確実に識別されることが重要となります。

A58SX(A)は樹脂設計において耐候性が考慮されており、
また耐久性のあるレーザーマーキング印字も可能です。

スマートグリッド(次世代送電網)が整備されていく中で、
A58SX(A)は電気配線網を構成する部品材料の一端を担っています。

今後、太陽光・風力などの再生可能エネルギー利用や、
EV・PHEVなどの電気自動車の普及によって
家庭で取り扱う電力規模が大きくなれば、
A58SX(A)のような高靭性・高難燃性コンパウンドの活躍分野が
さらに広がることが予想されます。

ダイセルミライズはこのような高機能特殊コンパウンド製品の設計開発に
より一層注力してまいります。

 

ノバロイA A58SX(タイプA)

 高靭性高難燃

特性 測定方法 測定条件 単位
引張強さ ISO527 MPa 148
曲げ強さ ISO178 MPa 250
曲げ弾性率 ISO178 MPa 15,000
ノッチ付きシャルピー
衝撃強さ
ISO179/1eA 23℃ kJ/m2 16
荷重たわみ温度 ISO75 1.80MPa 201
燃焼性 UL94 V-0 /1.0mm
熱線による発火(HWI) UL746A 1.0mm sec (PLC) 120(0)
高電流アーク発火(HAI) UL746A 1.0mm – (PLC) 150(0)
IECトラッキング(CTI) IEC112 3.0mm V (PLC) 600(0)
密度 ISO1183 g/cm3 1.73

 

詳しくは、レジン営業部までお問い合わせください。

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軽量かつ高難燃!電動車搭載のバッテリー周辺部品用PP樹脂

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今回はBEV(Battery Electric Vehicle)PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)に代表される電動車両(EV)向けバッテリー周辺部品用材料について取り上げます。

EVの多くは走行用モーターの駆動用電源としてリチウムイオン電池を採用しており、高出力化のため複数のバッテリーモジュールを内蔵したバッテリーシステム(バッテリーパック)が車室下部に収納されます。

バッテリーパックは概して大型であり、電費(EVにおける“燃費”)向上の観点から、軽量化が切実な課題となっていることはよく知られています。

一方リチウムイオン電池からなるEV駆動用バッテリーシステムに対しては、近年国際的または各国固有の安全性基準が設けられており、国連規格 UN ECE R100-02. Part II中国 GB38031-2020 はその代表的なものです。

例えば UN ECE R100-02.Part II では、9項目の安全性試験が定められており、振動、衝撃、 圧壊、外部短絡、過充電、過放電、過昇温、ヒートサイクル、耐火、のような試験に合格しなければいけません。

参考: 国土交通省 HP 001151001.pdf (mlit.go.jp)

ダイセルミライズは
耐火試験に着目
軽量かつ高難燃の
樹脂材料の開発に着手

 
ダイセルミライズは、バッテリーシステム軽量化のため、バッテリーパック筐体または周辺部品の樹脂化を考察する中で、とくに耐火試験に着目し、軽量かつ高難燃の樹脂材料の開発に着手しました。

UN ECE R100-02. Part II の耐火試験では、バッテリーパックまたは車両の下部で燃料に点火し、トータル130秒間火炎に曝したのち、火源が取り除かれます。 爆発の兆候が無ければ合格

高難燃樹脂材料の開発においては、
樹脂成形物に130秒間火炎を近づける試験を実施し、
試験中と試験後の状態を確認しました。

当社の従来のハロゲン系難燃PPグレード(GF強化)は、
火炎を近づけると着火・燃焼し、試験後自己消火するものの、
燃焼部位は「穴」となり崩落しました。


  • 試験前(平板状成形物)

  • 試験中(30秒経過)

  • 130秒後(試験終了)

  • 試験後

新規開発した非ハロゲン系高難燃PPグレード(GF強化)『ダイセルPP PG6N5』は、
同じ燃焼試験において、火炎を近づけても赤熱するのみで、
試験後は赤熱部位が自己消火するだけでなく形状も保持していました。


  • 試験前(平板状成形物)

  • 試験中(30秒経過)

  • 130秒後(試験終了)

  • 試験後

バッテリーパック筐体には、現在は主に金属材料が使用されていますが、
同じ形状で『ダイセルPP PG6N5』を用いれば
厚みの違いを考慮しても約20〜40%程度の軽量化が可能です。

このようなことから、『ダイセルPP PG6N5』を、
リチウムイオン電池を利用する
EVの駆動用バッテリーパック
筐体の一部または周辺部品用材料
として推奨致します。

 

ダイセルPP PG6N5

 高難燃軽量/低密度

特性 測定方法 測定条件 単位 PG6N5
メルトマスフローレート ISO1133 230℃/2.16kg g/10min 8
引張強さ ISO527 MPa 82
曲げ強さ ISO178 MPa 138
曲げ弾性率 ISO178 MPa 8,700
ノッチ付きシャルピー
衝撃強さ
ISO179/1eA kJ/m2 10
荷重たわみ温度 ISO75 1.80MPa 150
荷重たわみ温度 ISO75 0.45MPa 160
燃焼性 UL94 V-0 /1.5mm BK
密度 ISO1183 g/cm3 1.30

 

詳しくは、レジン営業部までお問い合わせください。

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